鰹の生態・栄養・漁法などの秘密に迫ります
分類はスズキ目サバ科カツオ属カツオ
1属1種という分類は珍しい。
仲間(類似種)にはスマガツオ・ヒラソウダ・マルソウダなどがいる。
身が赤い筋肉の塊
筋肉が赤いのは、ミオグロビンという酸素を貯蔵する働きを持つタンパク質が多く含まれるためで、カツオやマグロのように泳ぎ続ける魚に多く見られる特徴の一つ。
カツオの遊泳速度は、なんと30~40km/h
泳ぎを止めると呼吸ができず、浮袋が見発達なので、沈んでしまう。
高性能熱交換システム採用!
温動物なのにほぼ一定の体温を保てる。
高速で泳ぎ止まらない活力を維持する為、体の代謝を活発にする必要があり高い体温が必要なため。
カツオのお腹の縞模様は縦縞と横縞がある!
普段は無地で、興奮したりすると横縞が現れ、死んでしまうと縦縞が現れる。
結晶インスリンの精製方法が発見されるまで、
カツオのランゲルハンス島よりインスリンが生成されていた。
ランゲルハンス島とは動物の膵臓内にあり、血糖の調節を行う内分泌組織で、主にインスリンを分泌し血糖の調節を行う。別名を膵島(すいとう)という。
男の子なの?女の子なの?
生後1年で40cm前後、4年で75cm前後に成長する。
ほぼ周年、あちこちで産卵し、産卵時期以外、雄と雌を見分けることができない。見分ける方法は、お腹を開いて卵巣か精巣を確認するしかない。
広い海 旅して2,500km
回遊魚のカツオは太平洋・インド洋の北緯40度から南緯40度までの広い帯状の水域に住み、いつも群れをなし、季節によって移動し、回遊距離は年間2,500kmにおよぶ。
日本では太平洋側に多く、日本近海では黒潮に沿って春に北上し、秋に南下する。
日本沿岸に棲息するカツオは、南太平洋で生まれ、3つのルートで日本近海へやって来るとみられる。
伊豆近海で合流し、太平洋を東北沖へ進むといわれ、これを釣ったものが初ガツオと言われる。
夏に黒潮と親潮とぶつかる三陸沖まで北上し、秋に親潮の勢力が強くなると南下する。
この南下するカツオは戻りガツオ、又は、くだりカツオと呼ばれ、低い海水温の影響で脂がのっている。
血液サラサラ~
カツオ等の魚類に多く含まれる不飽和脂肪酸および高度不飽和脂肪酸。
これらの脂肪酸は血液中のコレステロール値や中性脂質を減少させ、血液をサラサラにすると言われている。
高度不飽和脂肪酸の中でもドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)は海洋生物に特有の脂肪酸。
高タンパク質で低脂質!
カツオは人間が生きるために必要な栄養素をバランスよく含んでいる。
身の部分の栄養成分は、タンパク質・脂質・灰分(ミネラル類)・炭水化物・ビタミン類など。
主な成分はタンパク質で含量は25%を占める。
二日酔いの解消に!
カツオは必須アミノ酸を多く含んでおり、良質のたんばく質源として栄養価が高いといえる。
また、タウリンと呼ばれる物質は、カツオ等の海産魚に多く含まれ、肝機能を向上させる作用をもつことから、二日酔いの解消に効果がある。
抗疲労効果!
アンセリンやカルノシンは他の魚種と比較しても、カツオの筋肉に多く含まれる。
これらのジペプチドは、カツオが高速で遊泳する際に筋肉の疲労を和らげる作用を持つ。
一方、これらを乳動物が食べた場合、抗疲労効果をもった機能食品として期待される。
伝統の漁法「一本釣り」で満船を!
◆活餌の積み込み
マイワシやカタクチイワシや、小型のサバやアジ、キビナゴなど。
生簀で飼い慣らされた活餌は、イキツケやナレエサと呼ばれ、最適の活餌。
◆群探し
重要な手がかりは、水色と水相。プランクトンや小魚類を多く含む暖流系で微緑色の水域を好む。
双眼鏡で群を探す職はメガネと呼ばれる。近年はレーダーやソナーが大きな効果を上げている。
◆誘い込み
群を発見すると、全速力でそれに向かい、近づくと、散水ポンプから海水が撒かれ、活餌を投げ、群が誘い込まれる。
食いつきの良さは様々な条件で決まる。
・天然の餌より上質の撒餌を好むことがある。
・ヨダレと呼ばれる胃液を出すカツオが多いと食いつきは最良と言われる。
・天敵のカジキ類におそわれたり、度々釣りの行われた群は食いつきが悪いと言われる。
・天候によって食いつきが変わる。
良い天候条件とは
・曇天で南寄りの風が吹き、若干の波浪がある場合。
・低気圧の襲来前で太陽の光が斜めから入る場合。などなど
◆一本釣り
一本釣りには、疑餌針釣りと餌釣りとあるが、現在では、ほとんど、疑餌針釣り。
また、漁船の先端で釣る漁業者は優れた釣りの技術を持っており、ヘノリと呼ばれる。